その次に、工場の規模、設備、製造実績を見ることも多いでしょう。

もちろん、これらは重要な判断材料です。

しかし、最近のある大口生産案件を通じて、私たちは改めて一つのことを強く感じました。

長期的に付き合えるサプライヤーかどうかは、価格や設備だけでは判断できません。私たちがより重視しているのは、顧客からの合理的な要求を受け止め、問題を改善し、その改善を自社の製造・品質管理能力として積み上げていけるかどうかです。

私たちはこれを、サプライヤーの「成長性」と考えています。

長く付き合っている工場でも、確認を省いてよいわけではない

今回の案件は、長年取引している中国工場で生産する、比較的数量の大きいプラスチック袋の案件でした。注文数量も大きく、工場側も案件の重要性を理解していました。

私たち自身にも、「長く付き合っている工場なので、今回もきちんと対応してくれるだろう」という気持ちがありました。

それでも、専門のQCによる現場確認を複数回行ったところ、いくつかの改善すべき点が確認されました。

  • チャック部分の不具合
  • シール不足
  • 印刷部分の剥離
  • 色差
  • 小さな黒点・白点
  • 製造設備周辺の清掃状態

ここで大切なのは、「問題が見つかった=その工場は使えない」ではないということです。

製造現場では、設備の立ち上げや調整の過程で一定の不良が発生すること自体はあります。私たちがより問題だと考えるのは、発生した不良を工場内部で識別・隔離できず、そのまま良品として次工程や出荷に進めてしまうことです。

つまり、不良が発生することと、不良品を良品として放行することは、まったく別の問題です。

プラスチック包装袋の外観検査で確認された微小な白点
外観検査で確認された微小な白点。発見後の識別、隔離、再確認までを管理します。

問題が起きたかより、「その後どう変わったか」を見る

今回の工場では、QCから改善点を伝えたあと、実際の現場に変化が見られました。

たとえば、袋の加工後に細かな破片が設備周辺に残り、清掃が十分ではない点を指摘したことがありました。その後、再度現場を確認した際には、設備周辺を含め、作業環境が明らかに改善されていました。

また、既存の品質管理記録にも、私たちが重要と考える確認項目が追加されました。抽出検査で比較的大きな不良が確認された場合には、不良品だけを取り除くのではなく、該当する箱や前後の関連製品を隔離し、必要に応じて再検査・全数確認を行う対応も取られました。

こうした行動を見ながら、私たちはその工場が「指摘されたから一時的に対応しているだけなのか」、それとも「改善内容を自社の管理方法として取り込もうとしているのか」を判断しています。

営業担当者の対応が良いことと、工場が成長できることは別

これまで多くの中国工場と接してきましたが、営業担当者の対応が非常に良い工場も少なくありません。こちらから要求を伝えると、「対応できます」「工場に確認します」「上司に報告します」と迅速に動いてくれます。

しかし、営業担当者がどれだけ熱心でも、工場そのものが改善に消極的であれば、問題はなかなか解決しません。

  • 工場が改善を受け入れない
  • 対応に非常に時間がかかる
  • 同じ問題が何度も繰り返される
  • 営業担当者だけが顧客と工場の間で調整を続ける

そのため、私たちは「担当者の対応力」だけではなく、工場全体に、問題を受け止め、自分たちの能力を高めていく文化があるかを見るようにしています。これが、私たちの考える「成長性」です。

成長性を見る前に、まず基本的な製造能力を確認する

もちろん、「改善する意欲」があれば、どの工場でも長期サプライヤーになれるわけではありません。成長性には、その製品を作るための基本的な製造能力を持っているという前提があります。

私たちが新しい工場を検討するとき、まず確認することの一つが、同類製品の製造経験があるかという点です。

たとえば、これまで主に工業用途の包装袋を作ってきた工場に、まったく異なる用途・品質要求の製品を依頼する場合、設備や製造環境、管理経験そのものが合わない可能性があります。

同じ種類の袋を作った経験があっても、日本向けの経験が少ない工場であれば、まず外観品質と機能の安定性から確認します。一回サンプルが合格した、一回の量産が問題なかった、それだけで「安定供給できる工場」とは判断しません。

私たちは、複数ロット・一定期間の実績を確認しながら、再現性を見ていきます。

サプライヤーを育てる第一歩は、買い手が品質基準を明確にすること

工場側に改善を求める前に、買い手側にもやるべきことがあります。その中でも、私たちが最も重要だと考えているのが、品質基準を明確にすることです。

  • どの状態を良品とするのか
  • どの状態を不良とするのか
  • 機能上、絶対に認められない問題は何か
  • 外観上、どの程度まで許容できるのか
  • どの工程を重点的に確認するのか

機能に影響するシール不良やチャック不良などは、明確な改善対象です。一方で、機能に影響せず、通常の目視ではほとんど判別できない極めて軽微な色差や、ごく低頻度の微細な外観差まで、すべてゼロにすることが現実的とは限りません。

重要なのは、「高品質」という曖昧な言葉ではなく、双方が判断できる基準を持つことです。

すべてのリスクを事前に予測することはできません。しかし、判断基準が明確であれば、新しい問題が発生した際にも、双方が同じ土台で話し合うことができます。

工場自身に「どう実現するか」を考えてもらう

品質基準を共有したあと、私たちは工場に「この要求を満たすために、どのような方法で管理するのか」を確認します。

問題が発生した場合も、毎回こちらから具体的な作業方法を指示するのではなく、まず工場自身に原因を考え、改善案を出してもらうことを重視しています。顧客が毎回答えを与えている限り、その工場はずっと「指示を待つ工場」のままだからです。

私たちが目指すのは、問題を自分で発見し、影響範囲を判断し、改善案を考え、結果を確認できる工場です。

さらに成熟したサプライヤーであれば、「問題ありません」と何でも答えるのではなく、「この条件にはリスクがあります」「この方法であれば対応可能です」「その場合、コストや納期はこのように変わります」と、量産前に自社の能力とリスクを説明できます。

そうした説明は信頼の第一歩になります。ただし、最終的には実際の結果による検証が必要です。

品質管理の記録は「多さ」ではなく「検証できるか」

品質管理というと、記録書類を増やせばよいと思われがちです。しかし、私たちは記録が多ければ多いほど良いとは考えていません。意味のない記録を増やせば、現場の負担が増え、かえって形骸化する可能性があります。

重要なのは、重要な品質ポイントについて、必要なときに検証できる証拠が残っていることです。

たとえば、チャックやシールなどの重要工程では、一定の時間ごとに確認を行い、必要に応じて写真や時間情報を残す。再加工や再検査を実施した場合には、その内容を追跡できる。問題が発生した際には、どの範囲を隔離し、どのように再確認したかが分かる。

私たちが確認したいのは、きれいな管理表ではありません。その品質管理の仕組みが、本当に現場で動いているかどうかです。

改善が一線の作業者の「習慣」になっているか

工場の改善が本当に定着したかどうかを見る際、私たちが特に注目するのが現場の作業者です。

QCが来る日だけ清掃する。責任者から注意された直後だけ検査を増やす。これでは、継続的な改善とは言えません。

  • 設備が安定する前に発生した不良品を自然に隔離する
  • 決められたタイミングで確認する
  • 異常を発見したら、その範囲を止める
  • 必要な記録を残す

こうした行動が、管理者から毎回指示されなくても実行される。いわば、現場スタッフの「筋肉記憶」のように定着して初めて、その工場の品質管理能力は一段階上がったと考えています。

QCの役割は、不良品を探すことだけではない

私たちは現在、必要に応じて第三者の専門QCを活用しています。これは、外部QCを利用すること自体が目的ではありません。

海外調達では、毎回自社スタッフが工場へ出張することは、時間や交通費の面で効率的ではありません。また、専門QCの方が、製品や工程を客観的に確認できる場合があります。

私たちがQCに期待している重要な役割の一つは、工場が約束した改善が、本当に現場で継続されているかを確認することです。

必要に応じて事前通知をせず現場を確認する。重要な品質記録が継続的に残っているかを見る。日本側での使用結果も確認する。こうした複数の情報を組み合わせながら、改善が一時的なものではないかを判断します。

初期段階では確認頻度を高め、その後、複数ロット・一定期間にわたって品質が安定し、工場自身の管理が定着していけば、徐々に確認頻度を下げます。外部からの確認が減っても品質が安定する。そこまで来て初めて、工場自身の能力として定着したと言えると考えています。

上流の小さなミスが、下流では大きな損失になる

私たちがこの考え方を重視する背景には、過去の経験があります。

以前、チャック付き包装袋の案件で、製造工程上のミスにより、チャックの取り付け方向が逆になったことがありました。構造上、正しい方向からは比較的小さな力で開けられますが、反対方向では大きな力が必要となり、消費者にとって非常に開けにくい状態になります。

問題が分かった時点では、すでに内容物の充填が終わり、商品は市場に流通していました。

包装袋メーカーだけを見れば、損失は「その袋の代金」に見えるかもしれません。しかし下流では、次のような包装袋そのものの価格を大きく上回る負担が発生します。

  • 充填済みの完成品
  • 再確認・再検品
  • 顧客対応
  • 消費者への説明
  • 再手配
  • ブランドへの影響

この経験から私たちは、サプライヤーの責任は「製品を工場から出荷した時点」で終わるものではないと強く考えるようになりました。上流の一つの小さなミスが、サプライチェーンの下流で大きな損失に変わることがあるからです。

本当に長く付き合えるサプライヤーとは

私たちは、長期的なサプライヤー関係を、一方がもう一方を管理し続ける関係だとは考えていません。

買い手側には、次のことが求められます。

  • 明確な品質基準を示すこと
  • 合理的な要求を伝えること
  • 必要な検証を行うこと

工場側には、次のことが求められます。

  • 自社の能力を正確に把握すること
  • 問題を隠さないこと
  • 改善を自社の仕組みに落とし込むこと
  • 同じ問題を繰り返さないこと

そして双方に合理的な利益が残ることも重要です。工場は継続的に製造能力を高めることができ、買い手側は不良、再検品、返品、追加対応などの負担を減らすことができます。その結果、さらに下流の顧客へ、より安定した商品やサービスを提供できます。

私たちは、この循環が長期的な取引につながると考えています。

株式会社康程優創では、中国の包装資材工場を単に紹介することだけを目的としていません。

日本企業の要求整理、サプライヤーの能力確認、量産時の品質確認、改善状況の検証を通じて、日中間の調達リスクをできるだけ早い段階で見える化することを重視しています。

本当に長期的に付き合えるサプライヤーとは、顧客の要求にただ従う会社ではありません。顧客からの合理的な要求を、自社の製造・品質管理能力へ変えていける会社です。

私たちは、そうしたサプライヤーとともに、より安定した日中の包装資材サプライチェーンをつくっていきたいと考えています。

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