原材料費、人件費、物流費。

さまざまなコストが上昇するなか、仕入先や調達方法を見直したいと考える企業は少なくないと思います。

実際、2026年版中小企業白書でも、中小企業では原材料・商品仕入価格の上昇分を販売価格へ十分に転嫁できていない状況が続いていることが示されています。(出典:中小企業庁『2026年版中小企業白書』第1部・価格転嫁

こうした環境のなかで、コストを見直す一つの選択肢として考えられるのが、中国からの調達です。

しかし、ここで一つの変化が起きています。

いまは中国の工場を「探すこと」自体が、以前ほど難しくありません。

中国工場を「見つける」ことは、ずいぶん簡単になった

20年ほど前まで、海外の工場を探すには、人からの紹介や商社が持つネットワークが大きな意味を持っていました。

その後、AlibabaなどのBtoBプラットフォームが普及し、海外にいながら中国の工場を検索し、直接連絡できるようになりました。

そして現在は、生成AIがあります。

例えば、

「食品用のアルミスタンド袋を中国で作りたい」

とAIに聞けば、候補となる工場を探す方法、確認すべき仕様、見積依頼の文章、比較項目まで短時間で整理できます。

翻訳もできます。

見積条件の比較もできます。

情報収集だけを考えれば、以前とは比べものにならないほど便利になりました。

では、これから商社や調達支援会社は必要なくなるのでしょうか。

私たちは、そうは考えていません。

むしろ、情報を探すことが簡単になったからこそ、

「見つけること」と「実際に取引できると判断すること」の違い

が、より重要になると考えています。

「見つけた工場」と「紹介できる工場」は違う

例えば、WebやAIで中国の工場を見つけたとします。

価格は日本より安い。

Webサイトもしっかりしている。

営業担当者からの返事も早い。

サンプルも悪くない。

それでも、それだけで日本のお客様に紹介できるとは限りません。

私たちが実際に取引先を見るときには、価格以外にも確認したいことがあります。

その会社は実際に何を得意としているのか。

逆に、何が苦手なのか。

提示された設備や生産能力は実態と合っているのか。

量産になったとき、どのような問題が起こりやすいのか。

品質に問題が発生したとき、どのように対応する会社なのか。

必要に応じて資料を確認し、担当者と話し、サンプルを確認し、場合によっては現地で工場を見る。

こうした確認を重ねて、少しずつその会社を理解していきます。

これは単に「工場の連絡先を知っている」ということとは違います。

紹介する以上、信用上の責任が残る

中国では、人から取引先を紹介してもらうことがあります。

私自身、長く中国と日本の間で仕事をするなかで、「紹介する」という行為を軽く考えないようになりました。

もちろん、紹介者がすべての取引結果を保証できるわけではありません。

契約で定められていないことまで、無制限に責任を負うこともできません。

それでも、

双方で明確に確認した条件があるにもかかわらず、一方がそれを守らなかった。

そのようなときに、

「紹介しただけなので、あとは当事者同士でお願いします」

で終わるのであれば、紹介する意味はあまりないと考えています。

法的・契約上すべての責任を負う立場ではなくても、

紹介した以上、信用上の責任は残る。

これは、私たちが中国の取引先を日本のお客様に紹介するときに大切にしている考え方の一つです。

安い工場より、適した工場を紹介できるか

もう一つ、商社や調達支援会社にとって難しい問題があります。

自社にとって利益の大きい工場と、お客様にとって適した工場が、必ずしも同じとは限らないことです。

例えば、

A社を紹介すれば手数料が高い。

B社は手数料が低い。

しかし、品質、ロット、設備、対応力などを考えると、今回のお客様にはB社の方が明らかに適している。

その場合、どちらを紹介するべきでしょうか。

私たちは、B社を提案できる会社でありたいと考えています。

一件の取引で得られる手数料より、

「康程優創が紹介する会社なら、一度話を聞いてみよう」

と思っていただける信用の方が、長期的には重要だからです。

これは理想論だけではありません。

調達では、一度失った信用を取り戻すためのコストの方が、一件の手数料差よりはるかに大きくなることがあります。

企業は、すべての能力を自社で持つ必要があるのか

ここでもう一つ、私たちが考えていることがあります。

日本企業が中国から調達しようと思えば、自社ですべて行うこともできます。

中国語で工場と連絡する。

候補企業を調査する。

見積を比較する。

サンプルを確認する。

仕様を詰める。

必要なら工場を訪問する。

量産を確認する。

検品を手配する。

輸送や輸入条件を確認する。

問題が起きれば工場と交渉する。

一つ一つはできない仕事ではありません。

しかし、問題は、

「その仕事を自社で持つことが、本当に合理的なのか」

ということです。

中小企業では、人も時間も限られています。

商品開発に強い会社。

製造に強い会社。

販売に強い会社。

顧客との関係づくりに強い会社。

企業には、それぞれ本来集中すべき仕事があります。

年に数回の中国調達のために、海外サプライヤー開発の機能を一から自社内に構築することが、必ずしも最も効率的とは限りません。

私たちが目指しているのは「中国調達を代行する会社」だけではない

株式会社康程優創が目指しているのは、中国の工場を検索して、その連絡先をお客様に渡す会社ではありません。

また、何でも中国から買うことを勧める会社でもありません。

私たちが目指しているのは、

お客様が自社で持つ必要のない中国サプライチェーン機能を、必要な部分だけ補うこと。

です。

現在の仕入先と中国調達を比較する。

仕様を整理する。

候補工場を確認する。

サンプルと量産条件を確認する。

品質確認や検品を調整する。

問題が起きれば、中国側と日本側の間に入り、事前に確認した条件に沿って解決方法を探す。

こうした仕事を通じて、お客様が本来集中すべき仕事に時間を使える状態をつくることも、調達支援の価値だと考えています。

AIは商社をなくすのではなく、仕事の中身を変える

私たち自身も、AIを積極的に使っています。

過去の案件。

仕様確認。

見積条件。

品質上の問題。

検品結果。

トラブル対応。

こうした実際の仕事から得られた情報を整理し、同じ失敗を繰り返さないためにAIやシステムを活用する。

これからの小さな会社にとって、非常に重要なことだと考えています。

しかし、システムに最終判断を任せたいとは考えていません。

システムは、人の代わりに判断するものではなく、

人がより良く判断するためのもの。

現場で何が起きているのか。

お客様は実際の生産で何に困っているのか。

工場は約束したことを本当に実行できるのか。

数字や文章だけでは分からないことは、実際の取引のなかにあります。

そして、その結果をまた次の判断に生かしていく。

私たちは、この積み重ねそのものが会社の資産になると考えています。

中国から買うことが、いつも正解ではない

最後に、これは非常に大切なことです。

中国から調達すれば、必ずコストが下がるわけではありません。

価格が安くても、

MOQが大きい。

在庫が増える。

輸送費がかかる。

品質管理の負担が増える。

社内で新しい仕入先を登録する必要がある。

トラブル対応に時間がかかる。

こうした条件まで含めれば、現在の日本国内の仕入先を継続した方が合理的な場合もあります。

だからこそ、

「中国の方が安そうだから変える」

ではなく、

「切り替えに必要なコストとリスクまで含めても、変える意味があるか」

を考えることが重要です。

中国調達は、目的ではありません。

自社の競争力を高めるために使える、選択肢の一つです。

まだ、中国から買うと決めていなくても構いません

現在の仕入価格が上がっている。

今の仕入先以外の選択肢も調べてみたい。

中国の工場を見つけたが、本当に取引してよいか判断できない。

そんな段階でも構いません。

株式会社康程優創では、現在の調達条件や商品仕様を確認しながら、

そもそも中国調達を検討する意味があるのか

というところから一緒に整理します。

中国調達を勧めることを前提にするのではなく、国内調達を続ける場合も含めて、現実的な選択肢を考えます。

参考資料

※本記事は公開情報と当社の実務経験に基づく考え方の整理を目的としたものであり、特定の取引結果や利益を保証するものではありません。契約、品質、法規制などの最終判断は、個別の取引条件に応じて専門機関へご確認ください。

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